50MHz 1/2λ片側給電型アンテナの製作 | home |
50MHzでQRPの移動運用を手軽に行いたいと思い、1点支持で設置が容易な1/2λ片側給電型アンテナを製作することにしました。 このタイプのアンテナは市販品ではサガ電子工業のZA-50Hなどがありますが、耐入力が200Wのため給電部が大きくてかさばります。今回はQRP用に、軽量でコンパクトなアンテナを製作することにしました。 また、製作したところ、Lを計算値よりもだいぶ小さな値にしないとうまく動作しなかったので、この原因についても考察しました。 |
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1/2λ片側給電型アンテナの給電部にはいくつかの方式がありますが、以前製作した21MHzのものと同じ方式としました。回路図は図1の通りとなります。 図1. 1/2λ片側給電型アンテナの回路図 使用する中心周波数を50.2MHzとしました。Lの値は(1)式、Cの値は(2)式となります。Rはアンテナの設置状態で変わりますが、5kΩぐらいになるようです(3〜7kΩと変化しても実用的なSWRに入る)。 ・・・(1) ・・・(2) Lはトロイダルコア (T68 #6)に巻いて製作しました。Cは15pFの小型のエアーバリコンを使用しました。製作した給電部の様子を図2、図3に示します。 図2. 50MHz 1/2λ片側給電型アンテナの給電部 (内部) 図3. 50MHz 1/2λ片側給電型アンテナの給電部 (外観) 単三乾電池2個分程度の大きさとなり、とても軽量でコンパクトな給電部を作ることが出来ました。5.4mのグラスファイバーポールに取り付けて使用している様子を図4に示します。 図4. 50MHz 移動運用の様子 エアーバリコンを調整し、SWRは1.2程度まで下げることが出来ました。設置が簡単で、とても使いやすいアンテナが出来ました。 |
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周波数が50.2MHzにおいては、計算値ではLは1.59uH (18ターン、1.52uH)、Cは6.39pFとなりますが、この状態ではSWRがほとんど下がりませんでした。実際にはコイルを巻き戻して14ターン (0.92uH)でSWRが下がるようになりました。Lの値は計算値の58%となり、だいぶ低い値となりました。 この原因としては、Lの寄生容量、あるいはアンテナワイヤの根元部分からグランドにかけての寄生容量が影響していると考えられます。 同軸ケーブルからアンテナ側を見た時のインピーダンスをSPICEでシミュレーションし確認しました。シミュレーション回路を図5に示します。 図5. シミュレーション回路 LとCは当初の計算値とし、寄生容量無しの場合のインピーダンスの周波数特性を図6に示します。50.2MHz付近でリアクタンスがゼロ、インピーダンスの実部が50Ωとなり、同軸ケーブルに整合しています。 図6. インピーダンスの周波数特性 (L, Cは当初の計算値。Lの寄生容量は無し) Lに5.2pFの寄生容量がある場合のインピーダンスの周波数特性を図7に示します。Lが自己共振を起こし、50.2MHz付近のインピーダンスが50Ωから大きくずれてしまっています。 図7. インピーダンスの周波数特性 (L, Cは当初の計算値。Lの寄生容量は5.2pF) Lを計算値よりも小さくした場合のインピーダンスの周波数特性を図8に示します。Lの自己共振周波数が高い方にずれ、結果的に50.2MHz付近でリアクタンスがゼロ、インピーダンスの実部が約50Ωとなるところがあります。 図8. インピーダンスの周波数特性 (Lは0.92uH, Cは5.5pF。Lの寄生容量 5.2pF) この様に、結果的には1/2λ片側給電型アンテナの給電部として動作出来ていますが、寄生容量が無い場合に比べると特性が急峻で、インピーダンスが50Ω付近となる帯域が狭くなっています。また、寄生容量の影響を受けていることから、動作が必ずしも安定しないことが予想できます。 給電部はなるべく地上や建物から離れた位置に設置する必要があることが分かります。また、トロイダルコイルは、巻始めと巻き終わりが接近するため寄生容量が大きくなりがちです。今回のような目的では空芯のソレノイドコイルが良いかもしれません。 |
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[1] "特選 ハムのアンテナ製作集"、CQ出版社、 〜7MHz帯用電圧給電型(ツェップ・ライクな)アンテナの製作〜 [2] 本webページ 20140118 21MHz 1/2λ片側給電型亜アンテナの製作 |
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EFHW(End Fed Half Wavelength)アンテナ 1/2λ片側給電型アンテナ 1/2λ電圧給電型アンテナ ツェップライクアンテナ |
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最終更新日:2017年11月30日 | |
Yukihisa Takayama | |
7N4ICR@jarl.com |